【疲れやすい人におすすめ】脳疲労の3つのサイン

tired
BUSINESS
LIFE

つい口癖のように「疲れた〜」という言葉を口にする人は多いのではないでしょうか。
コロナウイルスの感染拡大で、リモートワークが当たり前のようになってきました。
そんな中、「疲れがとれない」「リモートワークになって疲れやすくなった」「ストレスがたまりやすい」など、疲労に悩まされている人は多いと思います。

そこで、疲れやすい人に向けて疲労の正体についてご紹介します。
この記事を読むとこんなことがわかります。

・「疲れる」原因がわかる
・「脳疲労」の仕組みがわかる
・「パフォーマンス」を高めることができる
※今回紹介する内容は医学博士・医師、東京疲労・睡眠クリニック院長の「梶本修身氏」の提唱する内容となります

ぜひ、疲れやすい人にこそ読んで欲しいので、ご覧ください。

「疲れ」は体ではなく脳の疲労

最近はリモートワークによる疲れを感じる人の声をよく聞きます。
そもそも疲れの多くは、リモートワークそのものというよりは、仕事の環境と働き方が大きく変わったことが大きな原因です。
例えば、通勤がなくなった人は、歩くことや活動量が減っています。

このように生活スタイルが大きく変わり、極端に運動量が減り、体を制御する自律神経に大きな負荷がかかっています。
また、出社とリモートワークを繰り返し、起床時間が変わることも自律神経の乱れにつながり、疲れが蓄積します。

そもそも「自律神経」っていうのは、循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、無意識に24時間働き続けている神経です。
体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経の2つの神経系統で成り立っています。
この2つのバランスをそこなうのが「自律神経の乱れ」です。

そもそも疲れの正体とはなんなのでしょうか?

疲れの正体

「疲れ」とは体全体や筋肉などではなく、脳にある自律神経の中枢が酷使されることから起こります。
自律神経が受けるダメージそのもが「疲労」であり、リモートワークで体を動かさないから疲れない、という単純なものではありません。
ですが、体をいっぱい動かしたときも「疲れた〜」と感じるのはなぜでしょうか?

それは運動をしているときは、呼吸・心拍・体温を秒以下の単位で調節するため、それらを制御する自律神経がフル稼働します。
この状態が長く続くと、自律神経が疲弊し、「自律神経が疲れた」というシグナルを脳の眼窩前頭野という場所に送ります。
そこで「体が疲れた」とあえて誤解させて、これ以上運動して自律神経に負担をかけないようにしています。
でも、よっぽど激しい運動ではない限り、体を動かしても筋肉や内臓はさほど大きなダメージは受けません。

要は体を動かして感じる疲れも、結局は脳にある自律神経の疲れということです。
自律神経が酷使されると、自律神経細胞で大量の活性酸素が発生します。これが「酸化ストレス」で、細胞が錆びついた状態です。
自律神経細胞が傷つき、機能が低下してしまった状態が「疲れ」の正体です。

リモートワークの負担

自律神経の酷使からくる疲れは、「体を動かす」「頭を使う」「心因的なストレス」という3つの要因から生じます。

リモートワークは、オフィスでは生じなかったストレスがかかる場合もあります。
たとえば、「自宅が仕事環境に合わない」「家族に気を遣う」などの場合はストレスを増大させます。
さらに、リモートワークで評価の基準が変わったり、これまで通りのやり方が通用しなくなったりすることで、不安を感じる人も多いです。

こうした働き方が続くと、じわじわと自律神経に負担をかけ、疲労を蓄積させます。
また、いきなり活動量が減ると血流が悪くなり、体温が上昇する機会も失われます。
その結果、夜の寝つきが悪くなり、さらに疲れが溜まりやすいという弊害もあります。

集中力を鍛えるべきではない

リモートワークでは集中しにくいと思う方は多いかもしれません。
結論、そんなことはありません。集中する時間が長いほど、脳は特定の神経細胞ばかり使うので、あっという間に疲れます。
ゲームに夢中の子どもに話しかけても反応がないことはよくありますが、これは子ども特有の集中力です。本来、動物はここまで集中力を発揮すると敵に気づかず身を守れないので、大人になれば集中力が落ちるのは当然です。

そもそも脳のリソースには限界があります。
全てのタスクに集中していたら、1日8時間働くことはできません。
それよりも、複数のタスクを同時並行させる「注意分配力」の方が重要です。
忙しい人ほど、状況を俯瞰して要領よく手を抜きながらリソースを割り振る注意分配力が求められます。

では注意分配力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?
それは「タグ付け」です。
頭の中で一つ一つのタスクにどの程度の集中やリソースを配分すべきかという重要度を割り振り、付箋を貼ってくようなイメージです。
この力が優れている人ほど脳の疲れを抑え、パフォーマンスを発揮しやすくなります。

自律神経の老化

一度生じた疲れから回復するには、寝るしかありません。
 疲労は自律神経の細胞の一時的な錆び付きですが、錆び切って動かなくなるとそれが「老化」となります。
つまり、神経細胞が一時的に錆び付いた状態が「疲労」、その錆びが錆びたままの状態が「老化」です。
 疲労とは異なり、一度老化した自律神経は元に戻りません。
日ごろから疲れを軽減する工夫や、睡眠を確保して疲れを翌日に持ち越さないことが重要です。

疲れを放置すると、、

実は人間の機能の中でもっとも老化が激しいのは、自律神経です。
自律神経の機能を示すトータルパワーは10代をピークに30代で6割ほど、40代では半分以下まで低下してしまいます。
自律神経のトータルパワーは言い換えれば、「持久力」や「体力」といえます。
自律神経機能が高いほど、心拍・呼吸・体温調節機能が高く、バテにくく、熱中症などにもかかりにくいです。
たとえば、90分間、全速力と停止を繰り返すサッカーは自律神経をもっとも酷使する代表的なスポーツです。
そのため、他のスポーツと比べても引退する年齢が早いのはそのせいです。

疲れを放置すると、免疫力にも悪影響を及ぼします。
疲れや睡眠不足が続くと、風邪をひきやすいことがわかっており、睡眠時間が5時間未満の人は7時間以上の人に比べて、インフルエンザの罹患率が3倍になるという研究もあります。
感染症が気になる昨今は、特に疲れを溜めないよう意識し、十分な睡眠時間を確保してその日のうちに疲労を解消しておきたいものです。

明日からできる3つのこと

ここからは、疲れを抑えてパフォーマンスを高めるためにできる3つのことを紹介します。

①出勤する日もしない日も、起きる時間を揃える
朝寝坊する日があると、寝るのも遅くなり、体内時計が乱れて自律神経に負荷がかかってしまうからです。

②冷房の温度設定を25度くらいまで下げる
デスクワークで脳を酷使すると、自律神経が熱を帯びてのぼせたような状態になるので、それを冷やすのも疲れを軽減する効果が期待できます。
自律神経の中枢は鼻腔の上にあるため、鼻から吸い込む空気をなるべく冷たくすると効果的です。
2019年に姫路市役所で職員4000人を対象に実施した実験では、冷房の設定温度を28度から25度に下げたところ、仕事効率が上がって残業が減りました。結果として4000万円の節約効果がありました。

③マスクの使い方を改める
マスクを長く付けていると、吐く息がマスクを温めるので、熱がこもりやすくなります。
そうなると、次に吸う空気も生ぬるくなり、鼻腔が冷却装置として機能しなくなる。
 これだと、自律神経が酷使されて疲れ切ってしまう恐れがあります。
炎天下やランニング中のマスクなどはできるだけ避けましょう。
 普段は鼻だけ出しておいたり、「3密」以外の場所ではマスクを外したりするなど、疲れないマスクの使い方を心がけましょう。

脳疲労の3つのサイン

最後に脳が疲労している3つのサインを紹介します。
「疲労」と「疲労感」は別物なので、仕事へのやりがいや達成感の高い人ほど自覚しにくいので、これから紹介する3つのサインの注意を払うようにてください。

①飽きる
脳が最初に発するアラームが「飽きる」です。
特定の神経回路を使い続けて脳がオーバーヒートした状態であり、「その場所を使うのをやめてくれ」と信号を送っているのです。まずは休憩を取り、休憩後は異なる仕事に替えるのが理想です。

②作業効率が落ちる
そのまま同じことを続けると細胞の酸化が進み、頭がぼーっとするなどして「作業効率が落ちる」という第2のサインが現れます。

③眠くなる
これは脳が強制的にその仕事をやめさせようとしている状態であり、休憩が必要です。
リモートワークであれば横になることもできるので、時間を決めてベッドで休むのもおすすめです。
 休憩は短時間でいいので、時間を決めてこまめに取る方が効果的です。
 ある実験では、3時間の作業の合間に15分の休憩を取るより、55分ごとに5分の休憩を3回取る方が作業効率が高いという結果が出ています。

紹介した3つのサインをもとに、脳疲労とうまく付き合うようにしましょう。
疲労が蓄積すると免疫力が落ちてしまうので、自律神経も免疫細胞も細胞である以上、本来の機能を発揮するには十分な栄養が必要です。
栄養バランスの整った食事を規則正しくとることも心がけましょう。

まとめ

・自律神経は循環器、消化器、呼吸器などの活動調整のために無意識に24時間働き続けている神経
・「疲れ」は体や筋肉などではなく、脳にある自律神経の中枢が酷使されることから起こる
・自律神経の酷使とは「体を動かす」「頭を使う」「心因的なストレス」の3つの要因から生じる
・疲労は自律神経の細胞の一時的な錆びだが、錆び切って動かなくなるとそれが「老化」とな
・疲れを抑えてパフォーマンスを上げる3つのこと
 →①起きる時間を揃える②冷房の温度設定を25度③マスクの使い方を改める
・脳疲労の3つのサイン
 →①飽きる②作業効率が落ちる③眠くなる

関連記事

【疲れやすい人におすすめ】脳疲労の3つのサイン