三大栄養素の一つである「たんぱく質」は健康やダイエットにおいて、大切な栄養素の一つです。
たんぱく質が大切なのはわかっているけど、詳しくはわからない人のために今回は解説します。
また、下記のようなよくある悩みにもお答えします。
- 筋肥大したい
- 筋肉をつけて痩せたい
- たんぱく質をどれだけとればいいのかわからない
- たんぱく質のとりすぎは大丈夫なの?
この記事では上の悩みの解決とともに、下記のことが学べますので、ぜひご覧ください。
・たんぱく質を「どれだけ」「どのタイミングで」とればいいのか
・たんぱく質の効果を高める方法
・たんぱく質の過剰摂取による影響
目次
たんぱく質を「どれだけ」「どのタイミング」にとるのか
たんぱく質が大切なのはなんとなくわかるけど、「どれだけ」「どのくらい」とればいいのか詳しくわからない人のために解説します。
これがわかるようになると、筋肥大、ダイエット、健康などのために活用できるようになります。
どのくらいとればいい?
まずは最適な摂取量についてお話しします。
結論からお伝えすると、このような値となります。
・トレーニングを行っていない一般的な人:1日体重1kgあたり体重の0.86g
・筋力トレーニング実施者:1日体重1kgあたり1.2〜2.0g
この値を導き出した研究結果の内容を紹介します。
トレーニングをしない一般的な人は、1日体重1kgあたり体重の0.86gのたんぱく質を摂取した場合とそれ以上(体重1kgあたり1.4もしくは2.4g)摂取した場合とでは、体たんぱく質の合成速度に大きな違いが認められませんでした。
一方で、筋力トレーニング実施者では、体重1kgあたり0.86gのたんぱく質を摂取した場合に比べて体重1kgあたり1.4kgを摂取した場合において、体たんぱく質の合成速度が有意に高い値を示しました。さらに、体重1kgあたり2.4gのたんぱく質まで摂取量を増やしたところ、それ以上の合成速度の増加は見られませんでした。
研究ではさらに、窒素を使って推定量を求めたところ、最適な摂取量は1.41〜1.76kg/日と推奨摂取量が示されました。この結果から、オリンピック委員会(IOC)、アメリカスポーツ医学会(ACSM)、国際スポーツ栄養学会(ISNN)が発表する公式見解においても、たんぱく質摂取量は体重1kgあたり1.2〜2.0g/日という値が示されています。
いつとればいいの?
「どれだけ」のたんぱく質をとればいいのかわかったところで、次は「どのタイミング」でとればいいのか解説します。
そもそもタイミングはいつでもいいのでは?と感じるかもしれませんが、同じ栄養でも摂取するタイミングで効果が変わってきます。
では筋肉の増加・筋肥大などのためには、たんぱく質をいつ摂取すればいいのでしょうか?
それは、運動終了後できるだけ早い時間帯にたんぱく質を摂取したほうが効果的だということです。
筋力トレーニング後の筋たんぱく質の合成は、運動終了から数時間目までがもっとも高くなります。さらに、トレーニング直後は、たんぱく質摂取に対する骨格筋の感受性が高くなっています。
そのため、トレーニング終了後はなるべく早くたんぱく質を摂取するようにしましょう。
現在、完全には明らかになっていませんが、たんぱく質摂取の感受性が高くなる理由を解説します。
※専門的な話でもあるので、飛ばしていただいてもかまいません(笑)
筋力トレーニングを行うと、たんぱく質摂取に対する感受性が高まると考えられる要因は下記のとおりです。
・筋たんぱく合成に関与するmTOR関連の情報伝達経路がより活性化しやすくなっているため
・骨格筋においてアミノ酸を細胞内へと運び込む輸送体が増加するため
・骨格筋への血流量が増加した状態で、多くのアミノ酸を供給できるため
上記のような説が現在考えられています。はっきりとした要因はまだ解明されていませんが、研究の結果として、感受性が高まっていることは明らかなので、トレーニング直後にたんぱく質を摂取するように心がけましょう!
たんぱく質との付き合い方
ここからは、たんぱく質とうまく付き合っていく方法を解説します。
たんぱく質の「摂取すべき量」と「とるべきタイミング」がわかった上で、「たんぱく質摂取の効果を高める方法」と「たんぱく質の過剰摂取による影響」について解説します。
たんぱく質の効果を高めるには?
結論からお伝えすると、たんぱく質と同時に糖質を同時に摂取することで、効果が高まるとことが知られています。
これは糖質を摂取することで膵臓から分泌されるインスリンが骨格筋の糖の取り込みを活性化させるだけでなく、血流量を増加させ、骨格筋へのアミノ酸の供給を促進させる作用を持っているからです。
さらに、インスリンはたんぱく質の合成を促進するのと同時に、骨格筋の主要な分解物質の働きを抑制する働きもあることが知られています。
ですが、このような糖質とたんぱく質・アミノ酸の同時摂取による効果は、高齢者においてはあまり効果的でないという報告もあります。
それは、高齢者ではインスリン抵抗性を発症している人が多く存在し、効果が得られにくいと考えられています。
また、アミノ酸(ロイシン)によるたんぱく質合成作用も若年者に比べて高齢者では低下することが報告されています。そのため、高齢者においてはより多くのアミノ酸(ロイシン)の摂取が必要になります。
※ロイシンが豊富な食材:肉、魚、チーズ、乳製品
このように単体で栄養を摂取する足し算、引き算だけでなく、食品の組み合わせや食べ合わせによる相乗効果まで考えることも大切になります。
とりすぎると、、、
ここまではたんぱく質のとり方について解説してきましたが、とりすぎた場合の影響について次はお話しします。
とりすぎた場合の影響については下記のとおりです。
・たんぱく質摂取量の増加に伴い、酸化(老化の原因などといわれています)量も増加
・体重1kgあたり2.0gを超えてのたんぱく質摂取は、追加分はたんぱく質合成に使われず排泄される
・使われなかった分は尿素窒素として排泄され、排泄量が増えると腎臓への負担が増す
・健康な人でも体重1kgあたり2.0g以上のたんぱく質を摂取すると、腎機能障害や尿路結石、骨代謝異常のリスクが高まる
以上のことから、オリンピック委員会(IOC)、アメリカスポーツ医学会(ACSM)が推奨するように1日体重1kgあたり2.0g以上のたんぱく質を摂取するメリットはないといえます。
もっとも大切はことはいくら体にいいからといって、情報に対して安易に飛びつくのではなく、自分の栄養状態、体調などを確認した上で、その情報を取り入れるかどうか判断しましょう。
まとめ
・トレーニングを行なっていない人は1日体重1kgあたり約0.8gが理想
・筋トレ実施者は1日体重1kgあたり約1.2〜2.0gが理想
・運動後できるだけ早い時間帯にたんぱく質摂取すると効果的
・効果を高めるためにたんぱく質と糖質を同時に摂取すると効果的
・1日体重1kgあたり2.0g以上とると、腎機能障害や尿路結石、骨代謝異常のリスクが高まる
・1日体重1kgあたり2.0g以上とるメリットはない